2015年10月7日(水)発売
SHOKOメジャーデビュー・ファーストアルバム
"A Love Letter to London"
収録曲 (Track List)
SHOKOさんのファースト・フルレングス・アルバム「A Love Letter to London」は、彼女が長年暮らして愛し続ける街、ロンドンをテーマに、僕自身がすべての楽曲を制作し、彼女の魅力が存分に溢れる作品となりました。彼女の持つアンニュイな部分だけではなく、強い存在感を引き立たせる為に、ロックでガレージな楽曲や、夢見る女性達の為のドリームポップ、そして彼女の声にぴったり合う繊細なアコースティックなものや、スウェディッシュ・ポップ風なディスコチューン等々、あくまでもスタイルには強くこだわりつつ、幅広く多くのリスナーを獲得出来るように、普遍的でポップな部分にも気を配り、制作しました。東京はもちろん、スウェーデンはマルメのタンバリン・スタジオ、ロンドンのモート・スタジオでもレコーディングをし、SHOKOさんらしいヨーロピアンな空気をギュッと詰め込んだ、最高のメジャーデビュー・ファーストアルバムがここに完成しました。
前作のリリース直後、2011年7月にカヴァー曲2曲を収録した7インチシングル「London My Town」を制作したのですが、その中でUKトラッドの歌姫ヴァシュティ・ヴァニアンの「Train Song」を取り上げ、SHOKOさんの声や雰囲気との相性が非常に良かったので、UKトラッドの香りがするアコースティック曲を制作する事にしました。堀江博久君のローズ・ピアノと、スウェーデンのミュージシャン、ペッテル・リンドゴードさん(The Mopeds)のフュリューゲルが見事に調和した、アルバムの核といえる曲になっています。Kew Gardensとは、ロンドン南西部郊外にある王立植物園の名前です。
ディスコビート+メランコリックなメロディー = スウェディッシュ・ポップな名曲がここに完成。アルバムのメイン曲と言ってもいいでしょう。ロンドン暮らしの長いSHOKOさんが、鈍よりと曇った典型的なイギリスの空の下、ハイドパークからグリーンパークを抜けて、テムズ川沿いのサウスバンク周辺を歩きながら、ロンドンの偉大な歴史や文化の事に思いを馳せているような、そんなテーマで歌詞を書きました。「Hope and Anchor」はロックファンの人には馴染みの深い、北ロンドンのイズリントンにあるパブの名前です。70年代中期にパブロックがここから生まれ、多くのパンクロックのバンドがここで育った伝説のパブであり、ロンドンを代表するアイコンの一つです。アレンジとトラック制作は、関根卓史君(golf)が担当してくれました。
エレクトロなダンスビートとブリットポップをベースに、上田修平君による60’sのイタリア映画のサントラを彷彿させる華麗でゴージャスなアレンジが施され、アルバムの中でもインパクトの強い1曲。SHOKOさんの60’sカルチャーへの愛情を意識して、歌詞の中にアンディー・ウォーホールやニコ、ジェーン・バーキン、アンナ・カリーナなどの名前を登場させたり、「私はファム・ファタール(宿命の女)」や「自分大好き」という強い意志や自信を持つ歌詞は、10代や20代の若い女性にもアピールする部分があるのではないでしょうか?
カナダのSSW・ファイスト等のアコースティックな楽曲をモチーフにした軽快なポップチューン。堀江博久君のピアノ、そして上田修平くんによるグロッケンなどを使ったきめ細かいアレンジによって大きな広がりのある楽曲になりました。歌詞は、世界中で70年代~80年代に大ブームになった「ノストラダムスの大予言」をモチーフに、あの予言は何だったのか?という事を考えつつ、世界の終わりという意味と、ロンドンのチェルシー地区にあるヴィヴィアン・ウエストウッドの伝説的なショップ「Worlds End」をかけています。歌詞の最後に「私はチェルシーに行きたいの」という部分は、そこに繋がっています。
スウェーデン第3の都市・マルメにある、かつてはカーディガンズやフランツ・フェルディナンドがレコーディングをしたタンバリン・スタジオで、僕らの友人でもあるバンド、エッグストーンと3曲レコーディングをしました。エッグストーンらしく、またスウェディッシュポップでメリンコリックなメロディーとアレンジが最高で、SHOKOさんの可憐な歌声とのマッチングも抜群です。歌詞は、一時的に遠く離れて暮らす恋人同士の内容で、ロンドンで暮らす女の子は遠距離電話先の彼の優しい声を聞いて、まるで雨上がりのロンドンの青空のように気持ちが明るく、解放されていきます。雨の多いロンドンで暮らす事は、時には憂鬱な気持ちになるかもしれませんが、愛する人の声一つで気分は大きく変化し、また新しい一日を楽しもうという気持ちになるものですよね。
かつては何も無く、危険な地域と言われたイースト・ロンドンは、90年代末から急激にファッションやアート、音楽などカルチャーの発信地に成長しました。特にこの曲の題材である「ホクストン・スクエア」は、00年代半ばにはロンドン随一のトレンディスポットでもあり、ショーディッチ~オールドストリート・エリアは今も活気に溢れ、新しい文化を生み続けています。ロンドンに精通しているSHOKOさんだからこそ書けた彼女の著書「女の子のためのロンドン・ガイド~THE LONDON BOOK~」(文化出版局)にも載せて貰えそうな、そんな街のコーヒーショップをテーマに、かつてリバティーンズを生んだイーストロンドンな気分のガレージパンク・チューンに仕上げました。弾け飛ぶ60’sなオルガンは、堀江博久君によるもの。SHOKOさんのヴォーカル・レコーディングはロンドンのMOAT STUDIOにて、70年代にCANなどクラウトロックの録音に携わり、モノクロームセットなどを経由し、今はBBCの人気ドラマ「ドクター・フー」などの録音も手がけるトビー・ロビンソン氏によって録音されました。
この曲も、スウェーデンのタンバリン・スタジオでエッグストーンとレコーディングした曲の一つ。流石ポップ・マエストロであるエッグストーン! SHOKOさんの持つ、ヨーロピアンでアンニュイな世界観を、多くを語らずとも見事に表現してくれました。かつての彼らのファンや、スウェディッシュポップ・ファンにはグッと来る要素が大きいと思いますし、この感触は日本人のみならず、中々今誰も真似する事の出来ない職人技を感じます。歌詞は、有名なイギリスの伝統的な喫茶習慣である「アフタヌーン・ティー」をモチーフに、伝統の素晴らしさや、変わらない事の素敵さを歌っています。
約3年ほど前からこのアルバムに向けての楽曲制作に入ったのですが、当初はアメリカやカナダなどのインディーシーンで盛り上がっていたドリームポップやNite Jewelなどのエレクトロとアンニュイとエレガンスがミックスしたようなサウンドにしようと思い、作った一曲。上田修平くんのアレンジで、よりゴシック・ロマンチックな雰囲気が加味され、そのアレンジにインスパイアされて、深夜中々眠りにつけない女の子をイメージして完成しました。1961年のゴダール監督の作品「女は女である」のワンシーンもイメージしました。歌詞に合わせた、SHOKOさんの気だるく眠たそうな歌の表現が絶品です。
SHOKOさんがこよなく愛する60年代のファッションやカルチャー。60’sのPOPアイコン代表ともいえる大女優、ブリジット・バルドーが歌った“Ye-Ye”なフレンチポップや、60年代末期のスウィンギン・ロンドンの匂い漂うロンドンを舞台にしたイギリス映画「おませなツインキー」をイメージして作った、このアルバムには珍しいキッチュで軽快なポップチューン。織田祐亮君による、60年代に大流行したマリアッチ風のトランペットもご機嫌です! SHOKOさんのヴォーカル・レコーディングは、ロンドンのMOAT STUDIOで行いました。
デイブ・ブルーベック・カルテットの演奏で有名な、5/4拍子の名曲「テイク・ファイヴ」。60年代にはフランスギャルを始め多くのアーティストが、このリズムの曲を発表しました。60’sな雰囲気を出したい事から、フランスギャルの曲をモチーフに作曲し、2014年初夏にスウェーデンのタンバリン・スタジオでエッグストーンと一緒にレコーディングが出来る事になり、非常に彼ららしく、北欧っぽいジャジーな雰囲気が、アンニュイでソフトなヴォーカルと見事に調和しました。歌詞は、SHOKOさんが丁度そのレコーディングの直前に、ロンドン郊外にイチゴ狩りのピクニックに行ったという話からインスパイアされ、自分の人生は自分自身で切り開かなければ光は見えない、というポジティブなメッセージを込めました。
ホワイト・ストライプスが好きなSHOKOさんの為に、ガレージパンクな楽曲も用意しました。SHOKOさんのアート作品には、マッシュルームのモチーフが頻繁に登場するのがとても印象的だったので、そのテーマ曲とも言えるような楽曲を作りたかったのです。また、60’sの“SWINGING LONDON”の頃のイギリス映画のような雰囲気もあるので、堀江博久君に60‘sなコンボ・オルガンをキンキーに弾いて貰、事によって、関根卓史君(golf)のガレージなギターと相まって、そのイメージは完璧な物になりました。
「Pearly Dewdrops Sleep」同様、このプロジェクトの最初に書き制作を始めた楽曲で、ドリームポップ的なアプローチを持ちつつ、ネオ・アコースティックな趣きも持ち合わせたエレガントで爽やかなナンバー。歌詞は60‘sのフランス映画「ロシュフォールの恋人たち」のイメージに近い、夏が始まる時のワクワク感を表現しています。「I Love Me, I’m Me」など、今作では多くの曲をHalfbyやTurntable Films、アナ等を手掛けるプロデューサー/ミュージシャン 上田修平君に共同アレンジやトラック制作の協力をして頂きました。
当初「Hope and Anchor」をリード曲にした7インチ・シングルの制作を考えていた時に、カップリング用にカヴァー曲を収録しようと思いついたのが、ロンドンをこよなく愛し続け、それに因んだ作品を数多く発表している、ロンドンを代表するミュージシャン、セイント・エチエンヌでした。「ロンドン愛」がたっぷり詰まった彼らのデビューアルバムに収録されたこの曲は、その中でも飛び切り“LOVE LONDON”! アレンジは上田修平君と共同で行い、オリジナルよりも少しテンポを上げて、ロンドンの躍動感とロマンチック感を表現してみました。ミュート・トランペットはTRI4THの織田祐亮君によるものです。